「隣人、加藤との秘戯」~中編 -2~

 「……乳首、舐めてほしい……」

 自分の声とは思えないほど、か細く、熱のこもった声だった。
 その言葉を聞いた加藤さんの吐息が、耳元でゆっくりと深く沈んだ。

 「……三浦さん」


 名前を呼ばれた瞬間、背筋に冷たいものが走り、そのあとに熱い波が押し寄せる。
 彼の手が一度胸から離れた。代わりに、私の肩を軽く押して診察台へと導く。

 「横になってください。無理はさせませんから」

 その穏やかな声に逆らえなかった。
 診察台の上に仰向けになると、白い紙シーツがかさりと鳴り、心臓の鼓動まで大きく響いているように感じる。

 加藤さんの手が、私の胸元へと伸びた。
 先ほど外されたシャツのボタンの残りを一つずつ、迷いなく外していく。
 シャツの合わせ目がゆっくりと開き、冷たい空気が素肌に触れた。

 「……綺麗な胸ですね」

 その言葉が耳に届いた瞬間、恥ずかしさと高揚が一気に押し寄せる。
 彼の視線が、真っ直ぐに私の胸に注がれているのがわかる。
 小さめの乳輪、薄いピンク色の乳首――それをただ見られているだけで、体の奥がじわじわと疼き始めた。

 「触りますよ……」

 低く囁く声とともに、指先が胸の曲線をなぞる。
 肌に直接触れられるその感触は、服の上からの刺激とは比べものにならない。
 柔らかな指先が、まるで花びらを撫でるように乳首の周囲をゆっくりと描く。

 「んっ……あっ……」

 小さな声が勝手に漏れる。
 少し触れただけで、乳首が硬く尖っていくのが自分でも分かった。

 「敏感ですね……」

 甘い吐息がかかる。
 顔を逸らしても、胸元の熱はごまかせない。

 やがて、彼の手が乳首を軽くつまみ、転がし始める。
 力は決して強くないのに、その繊細な動きが神経を直接撫でるようで、腰の奥から力が抜けていく。

 「っ……だめ……そんな……」

 自分で制御できない声が、診療室に響く。
 加藤さんの指は、私の反応を愉しむように、ゆっくりと左右の乳首を交互に愛撫した。

 次の瞬間、温かいものが胸に触れた。

 「あっ……」

 視線を落とすと、加藤さんの唇が、私の右の乳首をそっと含んでいた。
 唾液を纏った舌が、ゆっくりと渦を描くように動く。

 「やっ……ぁぁ……っ」

 身体が跳ねる。
 唇に吸われるたび、頭の中に白い光が走る。
 その刺激に、無意識のうちに腰が捻れた。

 舌が乳首を転がし、軽く歯で噛まれる。
 快感が痛みに変わる寸前で、すぐに優しく舐め直される。
 その繰り返しが、どうしようもなく心地いい。

 「左も……同じようにしますよ」

 片方の乳首を離すと、もう一方に唇が移った。
 右と左、交互に、執拗に、けれど決して乱暴ではなく、優しく舐め回される。

 「んっ……あっ……だめ……っ」

 声が次第に高くなっていく。
 乳首から体の奥へ、快感の波が広がっていく。
 何度も、その波に飲み込まれて、呼吸が乱れる。

 「……三浦さん」

 唇が離れた瞬間、耳元で低い声が落ちる。

 「もっと深く感じてもらえる方法があるんです」

 そう言って彼は机に向かい、引き出しを開けた。
 そこから取り出したのは、電気マッサージ器だった。
 コードの先をコンセントに差し込み、スイッチを入れると、低い振動音が部屋に広がる。

 「怖がらなくていいですよ。無理はしません」

 その言葉に小さく頷く。
 期待と緊張がないまぜになって、体中の血が熱くなる。

 マッサージ器の先端が、短パンの上から太ももに軽く触れた。
 振動が生地を通して伝わり、腰が小さく浮く。

 「んっ……」

 さらにそれが中心へと近づく。
 薄い布を隔てた振動は、直接秘部に吸い込まれるように広がった。

 「ひぁ……ああっ……!」

 短パン越しに当てられているだけなのに、下着をつけていないせいで刺激が強すぎる。
 呼吸が止まりそうになる。

 その間も、加藤さんの口は乳首を離さなかった。
 右の乳首を唇に含み、唾液で濡らし、舌で転がしながら吸い上げる。
 もう片方の乳房には、手が優しく這っている。
 フェザータッチのようなその指先が、乳房全体をくすぐりながら乳首を軽く摘む。

 「やぁっ……だめ……もう……」

 全身が熱に包まれていく。
 マッサージ器の震えと、乳首への舌の感触が同時に押し寄せ、頭が真っ白になった。

 「大丈夫、力を抜いて……楽に」

 穏やかな声と同時に、電気マッサージ器が少し強く押し当てられた。
 そこから一気に、意識がふっと飛ぶほどの快感が襲ってきた。

 「……っ、あ、あぁ……!」

 体が勝手に跳ねる。
 腰が浮き上がり、何度も小刻みに痙攣する。
 これまでに経験したことのない波が、容赦なく押し寄せた。

 「もう一度……」

 唇が囁き、また乳首が舐められる。
 快感の余韻が消える前に、次の波が押し寄せる。

 「いやっ……っ、もう……だめぇ……!」

 涙が滲む。
 それでも彼の手も舌も止まらない。

 何度も何度も、絶頂の波に飲み込まれ、息ができなくなる。

 どれくらいの時間が経ったのか分からない。
 力が抜けきった私を見下ろしながら、加藤さんはそっと唇で額を撫でるようにキスをした。

 「……三浦さん」

 低く、しかし優しい声。

 「ここでは……少し狭いですね」

 そう言うと、マッサージ器のスイッチを切り、私の体をそっと抱き起こした。

 「自宅部分の和室に行きましょう。もっと、落ち着ける場所で……」

 背中に腕を回され、導かれるように診療所の奥――彼の住まいへ。
 まだ痺れの残る脚で、一歩一歩進むたびに、これから待つものへの期待と、どうしようもない昂ぶりで、胸の奥がまた熱くなった。

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