「……乳首、舐めてほしい……」
自分の声とは思えないほど、か細く、熱のこもった声だった。
その言葉を聞いた加藤さんの吐息が、耳元でゆっくりと深く沈んだ。
「……三浦さん」
名前を呼ばれた瞬間、背筋に冷たいものが走り、そのあとに熱い波が押し寄せる。
彼の手が一度胸から離れた。代わりに、私の肩を軽く押して診察台へと導く。
「横になってください。無理はさせませんから」
その穏やかな声に逆らえなかった。
診察台の上に仰向けになると、白い紙シーツがかさりと鳴り、心臓の鼓動まで大きく響いているように感じる。
加藤さんの手が、私の胸元へと伸びた。
先ほど外されたシャツのボタンの残りを一つずつ、迷いなく外していく。
シャツの合わせ目がゆっくりと開き、冷たい空気が素肌に触れた。
「……綺麗な胸ですね」
その言葉が耳に届いた瞬間、恥ずかしさと高揚が一気に押し寄せる。
彼の視線が、真っ直ぐに私の胸に注がれているのがわかる。
小さめの乳輪、薄いピンク色の乳首――それをただ見られているだけで、体の奥がじわじわと疼き始めた。
「触りますよ……」
低く囁く声とともに、指先が胸の曲線をなぞる。
肌に直接触れられるその感触は、服の上からの刺激とは比べものにならない。
柔らかな指先が、まるで花びらを撫でるように乳首の周囲をゆっくりと描く。
「んっ……あっ……」
小さな声が勝手に漏れる。
少し触れただけで、乳首が硬く尖っていくのが自分でも分かった。
「敏感ですね……」
甘い吐息がかかる。
顔を逸らしても、胸元の熱はごまかせない。
やがて、彼の手が乳首を軽くつまみ、転がし始める。
力は決して強くないのに、その繊細な動きが神経を直接撫でるようで、腰の奥から力が抜けていく。
「っ……だめ……そんな……」
自分で制御できない声が、診療室に響く。
加藤さんの指は、私の反応を愉しむように、ゆっくりと左右の乳首を交互に愛撫した。
次の瞬間、温かいものが胸に触れた。
「あっ……」
視線を落とすと、加藤さんの唇が、私の右の乳首をそっと含んでいた。
唾液を纏った舌が、ゆっくりと渦を描くように動く。
「やっ……ぁぁ……っ」
身体が跳ねる。
唇に吸われるたび、頭の中に白い光が走る。
その刺激に、無意識のうちに腰が捻れた。
舌が乳首を転がし、軽く歯で噛まれる。
快感が痛みに変わる寸前で、すぐに優しく舐め直される。
その繰り返しが、どうしようもなく心地いい。
「左も……同じようにしますよ」
片方の乳首を離すと、もう一方に唇が移った。
右と左、交互に、執拗に、けれど決して乱暴ではなく、優しく舐め回される。
「んっ……あっ……だめ……っ」
声が次第に高くなっていく。
乳首から体の奥へ、快感の波が広がっていく。
何度も、その波に飲み込まれて、呼吸が乱れる。
「……三浦さん」
唇が離れた瞬間、耳元で低い声が落ちる。
「もっと深く感じてもらえる方法があるんです」
そう言って彼は机に向かい、引き出しを開けた。
そこから取り出したのは、電気マッサージ器だった。
コードの先をコンセントに差し込み、スイッチを入れると、低い振動音が部屋に広がる。
「怖がらなくていいですよ。無理はしません」
その言葉に小さく頷く。
期待と緊張がないまぜになって、体中の血が熱くなる。
マッサージ器の先端が、短パンの上から太ももに軽く触れた。
振動が生地を通して伝わり、腰が小さく浮く。
「んっ……」
さらにそれが中心へと近づく。
薄い布を隔てた振動は、直接秘部に吸い込まれるように広がった。
「ひぁ……ああっ……!」
短パン越しに当てられているだけなのに、下着をつけていないせいで刺激が強すぎる。
呼吸が止まりそうになる。
その間も、加藤さんの口は乳首を離さなかった。
右の乳首を唇に含み、唾液で濡らし、舌で転がしながら吸い上げる。
もう片方の乳房には、手が優しく這っている。
フェザータッチのようなその指先が、乳房全体をくすぐりながら乳首を軽く摘む。
「やぁっ……だめ……もう……」
全身が熱に包まれていく。
マッサージ器の震えと、乳首への舌の感触が同時に押し寄せ、頭が真っ白になった。
「大丈夫、力を抜いて……楽に」
穏やかな声と同時に、電気マッサージ器が少し強く押し当てられた。
そこから一気に、意識がふっと飛ぶほどの快感が襲ってきた。
「……っ、あ、あぁ……!」
体が勝手に跳ねる。
腰が浮き上がり、何度も小刻みに痙攣する。
これまでに経験したことのない波が、容赦なく押し寄せた。
「もう一度……」
唇が囁き、また乳首が舐められる。
快感の余韻が消える前に、次の波が押し寄せる。
「いやっ……っ、もう……だめぇ……!」
涙が滲む。
それでも彼の手も舌も止まらない。
何度も何度も、絶頂の波に飲み込まれ、息ができなくなる。
どれくらいの時間が経ったのか分からない。
力が抜けきった私を見下ろしながら、加藤さんはそっと唇で額を撫でるようにキスをした。
「……三浦さん」
低く、しかし優しい声。
「ここでは……少し狭いですね」
そう言うと、マッサージ器のスイッチを切り、私の体をそっと抱き起こした。
「自宅部分の和室に行きましょう。もっと、落ち着ける場所で……」
背中に腕を回され、導かれるように診療所の奥――彼の住まいへ。
まだ痺れの残る脚で、一歩一歩進むたびに、これから待つものへの期待と、どうしようもない昂ぶりで、胸の奥がまた熱くなった。
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